木・鉄・コンクリートの木造住宅






木・鉄・コンクリートの木造住宅

2021年6月に計画された住宅である。当時、日本の材木業者は混乱を招いていた。近年のシェア率約70%を誇る輸入集成材の流通がストップし、材料不足が深刻な状態であった。残り30%の国産材をプレカット業者がとりあっている状況がつづいており、単価も高騰し、今後の状況も予測ができていなかった。そんな状況の中、木造住宅を望む施主の意向もあり、在来軸組工法のルールのなかで可能な新しい木造住宅の建ち方を計画した。

在来軸組構法の歴史は古く、1950年代から元になる構法は出現していたが現代の構法につながる構法に変容したのは1980年代後半、構造用合板や機械プレカット技術が普及してからである。その後、1995年の阪神大震災、2000年基準法改正、品格法の制定を経て大きく変容を遂げながら全国に普及している。また同時に生産事業者も競って実験、研究、金物開発を行い、それぞれ独自に技術発展を遂げている。在来軸組構法の特筆すべき点は、単一で明確な決められた構法ではなく、地域や扱う工務店、設計者によって採用する技術や納まりが異なることである。そのあり方は多様でありながらどこかルーズであり、さまざまな可能性を内包する開かれた構法(技術)であると考えている。


今回の計画は在来軸組構法の特徴を再確認しつつ、現状の木材が確保できない状況を手がかりに、在来軸組構法から発想する。 一般的に木造住宅は基礎をコンクリートでつくり、その上に木造の架構を構築し、接合金物や部分的に補強材として鉄を用いるが、今回は木材の材料不足により、多くの木材のが入手できない。そこで木、鉄、コンクリートの比率を調整し、再構築することにした。出来るだけ従来の方法を保持しつつ、比率を調整して新しい建ち方を計画する。




















基本データ

建物名称|木・鉄・コンンクリートの木造住宅
所在地|群馬県安中市
主要用途|一戸建ての住居

設計
KMR・建築事務所|KMR・Architects 

構造
木造

規模  
階数 地上1階
敷地面積 282.56㎡
建築面積 105.27㎡
延床面積 105.27㎡



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